【自然農で米作り】苗代の作り方・ポイントやコツも詳しく紹介

自然農の苗代 お米をつくる

『自然農でお米も作ってみたい』『でも、どうやって?』『なにからやればいい?』そう悩まれている方も多いのではないでしょうか?

また『自分は畑しか持っていないし、、』と思っておられる方、実は田んぼだけではなく畑で水を張らなくてもお米を作ることは可能です。

そのためにもまず必要になるのか『苗代(なわしろ)』です。

苗代とは野菜でいうところの苗を作るためだけの場所です。慣行農法の苗代は使う道具も多く、作る工程も非常に多くて大変です。その点自然農の苗代はとてもシンプルです。今日はそんな自然農の苗代の作り方を紹介させていただきたいと思います。

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自然農におけるコメ作りの苗代とは?

お米作りの苗代は通常の場合、ハウスで苗箱(なえばこ)と呼ばれる箱に種籾を播き、苗箱である程度育った苗を次は、畑の一角に小さな田んぼのような場所を作りそこに移植して寒冷者やビニールの屋根を作ります。

しかし自然農の苗代はこういった工程を行わず、畑の一角に直に苗代を作ります。水を張ったりビニールのトンネルも作りません。こうすることでとても丈夫で強い稲苗ができるのです。

通常田植えをするときの苗は3本か4本植えが多いですが、自然農の苗はとても大きく丈夫なので植える間隔にもよりますが1本植えで行います。自然農の稲は分けつ(1本の苗が分かれていくこと)が多いので1本植えでもとても多収穫です。

とてもいいことだけのように見えますが、その分やはり畑の土が持つ力『地力』が非常に重要になってきます。自然農1年目の畑ではなかなか思うように苗が育たないかもしれませんが環境が許す方は是非チャレンジしてみましょう。

苗代をつくるタイミング

自然農の苗代

自然農の苗代作りはまだ寒い頃の12月・1月あたりから始まります。特に自然農を始めたばかりで地力があまりない田んぼの場合は早めに苗代を用意しておく方がいいでしょう。

籾種を播く2ヶ月前までには苗代を作っておくと、土の中の微生物たちが上手く土を耕しておいてくれるのです。

自然農の苗代の作り方を紹介

①作付け面積から苗代の面積を計算する

まずは苗代を作る面積の計算をしましょう。そのためにはまず米作りに必要な『種籾』の量を計算します。計算式は次の通りです。

  • 作付け面積1反(1000㎡)あたり5合(900㏄)
  • 作付け面積1畝(100㎡)あたり5勺(しゃく)(90㏄)

これを計算しやすい数字にして計算すると100㎡あたり約100㏄となり、必要な種籾の量は作付け面積『1㎡あたり1㏄』となります。

ちなみにこの計算は条間40㎝、株間30㎝の1本植えを仮定としています。自然農を始めたばかりの頃は苗がうまく育たない可能性が高いので少し多めに用意した方がいいと思います。

必要な種籾の量が計算できたら次は苗代の面積を計算します。

  • 作付面積1反(1000㎡)あたり、20㎡(例 1m×20m)
  • 作付面積1畝(100㎡)あたり、2㎡(例 1m×2m) 

簡単に言うと作付け面積の50分の1が苗代に必要な面積となります。苗代の幅は作業しやすいように両サイドから手が届く1mがオススメです。

ここで例に沿っておさらいしましょう。

作付け予定が例えば60㎡の場合、必要な種籾は60㏄ですね。そして苗代は作付面積の50分の1なので60÷50=1.2㎡(1m×1.2m)といった感じになりますね。

初めて苗代を作る場合は、計算した倍以上の種籾を用意した方が無難です。

②苗代をつくる場所を決める

自然農の苗代

苗代に必要な面積が計算できたらいよいよ苗代作りにとりかかりましょう。自然農の苗代は土の表面を少し削ることになるので、田んぼの中で少し高い場所にあってかつ実際に田植えする場所に近いところがオススメです

写真の苗代予定地は1×2メートルで作っています。

きれいな苗代を作るために採寸はきっちり行いましょう。上の写真は麻紐と目印の棒を使って採寸しました。こうしておくと後々の作業もやり易いです。

③苗代の草刈り

自然農の苗代

苗代の場所が決まったら次は草刈りです。写真の場所はあまり草が生えていなかったのでいいですが、耕作放棄地などでは冬でも草がたくさん生えていると思います。この後で土の表面を削るのですが、ある程度大きな草はこの時に取っておいた方がやりやすいです。

上の写真は苗代の端をノコギリ鎌で切り込みをいれているところです。

④苗代の表面を削る

自然農の苗代

土の表面は平鍬で約2〜3センチほど削ります。削ることで草の根や種をできるだけきれいに取り除きます。そうしないと籾種が発芽した時に草と見分けがつかなくなってしまいます。

自然農の苗代

削った土は苗代の周りにかためて置いておきます。この土は田植えが終わってから元に戻します。また種籾を播いた後に苗代の周りをネズミやモグラ対策として溝を作るので苗代を何本も作る場合はその分を空けて作るようにしましょう。

⑤補いを撒く

表面が削られた土は、その分微生物などの生活環境が崩れてしまうので、微生物たちがまた同じ環境をできるだけ戻しやすいように微生物の餌になる補いを撒きます。

米ぬかの量は表面にうっすらと雪が積もるくらいの感じで充分です。地力が極端に低い田んぼでは米ぬかと油粕を1対1で混ぜたものを撒いてもいいでしょう。

⑥刈り草・稲藁を撒く

自然農の苗代

最後に刈り草や稲藁を被せて土を裸にしないようにします。こうすることで冬の寒さから土を守り、微生物の活動が活発になるようにします。風が強く吹く地域などの方は木の棒などで重しをして草が飛んでいかないようにしておきましょう。

この状態で籾種を播く時まで放置しておきます。自然農の苗代作りの工程は以上です。とてもシンプルで比較的簡単ですよね。しかし大切な苗を作る場所ですので1つ1つの工程を丁寧に慎重に進めていきましょう。種まきの時が待ち遠しいですね。

水稲(すいとう)と陸稲(りくとう)の苗代は違う?

自分は畑しか持っていないからお米作りは無理、と諦めている方もいるかもしれませんが米作りには田んぼに水を張って行う『水稲』と野菜と同じように水を張らずに作る『陸稲(りくとう・おかぼ)』があります。

陸稲を初めて聞く方も多いと思います。実は私も知りませんでした。自分は畑しかなかったのでお米作りは諦めていたのですが、畑でもお米が作れると知ったときは本当にびっくりでした。

そして基本的に水稲でも陸稲でも作る苗代は同じで大丈夫です

また畑の中に小さな田んぼ(水稲)を作ることも実は可能なのですが、こちらは少し工程が難しいので私も挑戦していませんが、いつかチャレンジできたらまたシェアしたいと思います。

まとめ

今日は自然農の米作りのための苗代作りについて紹介させていただきました。自然農の苗代はとてもシンプルで簡単そうに感じた方も多いと思います。確かに用意するものや工程はとても少ないのですが、その分タイミングや地力を必要としますので経験が重要になってきます。

はじめは種籾や作付け面積も少し多めにしておくといいと思います。もしあまりお米を収穫できなかったとしても、その年にできたお米を来年の種籾として活用していきながら経験を積んでお米作りも上達していくと素晴らしいですね。

では、ありがとうございました。

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