自然農法で野菜を育てようとなったらまずはじめにすることは、今の自分の畑の土の状態を把握することです。
それまでに耕作放棄にされていて一切手付かずの状態の畑なら逆に好条件なのですが、景観のために除草剤や掘り起こしが繰り返されていた畑の場合、条件が悪くなっていることが多いです。いきなり種や苗を植えてもちゃんと育ってくれない可能性が高いです。
そこで今日は、今の自分の畑の土の状態を見分けるポイントと自然農法でちゃんと野菜が育ってくれる理想的な土の作り方について紹介してみたいと思います。
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自分の畑はどんな状態?見分けるポイントは土と雑草と虫
今の自分の畑の状態を見分ける前に、そもそも自然農法にとって理想的な土とはどんな土でしょうか?まずは目指すべき理想の土が一体どんな土の状態なのかしっかりと把握しておきましょう。
そもそも自然農に向いている土とは?
自然農法に向いている土をひと言で表すならば『握ったら固まり、つついたら崩れる土』です。適度に湿り気と保水力がありながら水はけも良いという感じですね。土の状態を表す農業の専門用語で言うと『野菜作りに適した団粒構造の土』といいます。
畑の土はそれぞれの土地によって違います。砂地のところや赤茶色っぽい土、黒っぽい土、山の土や河原の土それぞれに特色があり育てる野菜に向き不向きがあります。しかし共通して言えることは土の中に微生物や有機物、昆虫が多く生息していることです。
自然農法に理想的な畑の土とは、全ての生き物が植物と共に生活できている土と言っていいでしょう。では一体どのように土の状態を判断すればいいでしょうか?
畑の状態は生えている雑草が教えてくれる
畑の土の状態の判断基準は色々あるのですが一般的に『酸性度』『乾湿(乾いているか、湿っているか)』『微生物や菌の種類』でみることが多いと思います。野菜作りに適しているのは弱アルカリ性で適度に湿っており、微生物が豊富な土です。これらを土を見ただけで判断するのは初心者ではかなり難しいです。そこでヒントになるのが生えている草の種類です。
『肥沃な土と痩せている土』『水捌けの良い土と悪い土』『固い土と適度に柔らかい土』ではそれぞれで生えている草の種類が違ってきます。草は畑の酸性が強いと弱アルカリ性に近づける働きを持つものが生えてきます。固い土では土を柔らかくしてくれる草が生えてきます。
畑に生えている草の種類を見れば、自分の畑の状態を知ることができるのです。本当に良くできていて感心してしまいますね。
自然農に理想的な畑に生える雑草
では具体的に自然農に向いている理想的な畑に生える草の種類の紹介をしたいと思います。ここで言う理想的とは『弱アルカリ性で水捌けがよく、微生物が豊富な土』です。
【弱アルカリ性の畑に生える草】
ハコベ・イヌフグリ・ホトケノザ・ノゲシ・オトギリソウ・ナズナなど
【水捌けが良い畑に生える草】
エノコログサ・メヒシバ・ハコベ・イヌビユ・スベリヒユなど
【微生物が豊富で肥沃な畑に生える草】
スベリヒユ・ハコベ・ホトケノザ・ハキダメギクなど
こんな雑草が生えていたら注意しよう
次に『酸性』『水捌けが悪い』『微生物の少ない痩せた』畑に生える草を紹介したいと思います。
【酸性土壌の畑に生える草】
スギナ・クローバー・ヨモギ・シロツメクサ・スミレ・オオバコなど
【水捌けの悪い畑に畑に生える草】
イヌタデ・タネツケバナ・スカシタゴボウ・ツメクサ・スズメノカタビラなど
【微生物の少ない痩せた畑に生える草】
ススキ・チガヤ・ネザサなど
育ちやすい野菜は雑草が教えてくれる
これらの草が畑にたくさん生えているときは、もしかする現段階では野菜が育ちにくいかもしれません。でもだからといって諦める必要はありません。酸性土壌で水捌けが悪く、しかも痩せた畑であっても育つ野菜はあるはずです。現に草たちは何もしなくても立派に育っているのですから、その畑の状態にあった野菜を作付けすれば問題ないです。
例えば人参やゴボウやカブは比較的湿った土を好みますし、小松菜や大根などはどんなところでも比較的丈夫に育ってくれるたくましい野菜です。他にもその土地で昔から栽培されていた、いわゆる伝統野菜は土地と非常に相性が良いはずですのでオススメです。
自然農法では虫も大切な仲間です
一般的に野菜栽培をしている方にとって虫は天敵とされていますが、自然農法では虫も大切な仲間です。農薬や肥料を入れている畑には虫があまりいません。良い畑には虫が多く種類もとても多様になっているはずです。
虫が草を食べて糞をして肥料となったり、虫を食べにくる鳥が糞をしてくれたり、また虫の死骸が土に堆積(たいせき)して土をどんどん肥沃にしていってくれます。また虫をうまく利用して違う種類の虫から野菜を守ってくれるなんてこともしてくれるのです。
例えばトウモロコシにはアワノメイガという虫が、枝豆にはカメムシがよってくるのですが、この2種類を近くで栽培することで、お互いの虫同士を嫌がり近寄ってこなくなりやすくなり結果どちらも良く育つことができるようになるのです。
これを『コンパニオンプランツ』というのですが、詳しくはそれぞれの野菜の栽培方法で紹介したいと思います。
自然農に向いている理想的な畑の作り方
今の自分の畑の土の状態を判断するポイントが掴めて、土の状態がおおよそ分かってきたら次は理想的な土を目指してきましょう。その方法はとても簡単です。
理想の畑を作るポイントは『ほったらかし』です
理想的な畑を作るために必要なことは『ほったらかし』にすることです。
え!?それだけでいいの?と思われるかもしれませんが、畑は自然のままにしておけば自ら再生してくるようになっているのです。
土が固い畑にはイネ科の草が真っ直ぐ下に根をはやし土を柔らかくしてくれます。微生物が少ない痩せた土にはマメ科の草が生えて根に根粒菌という菌を作り畑を豊かにしてくれます。
ほったらかしにすることでミミズやてんとう虫、幼虫なども生活しやすくなり畑に生態系が形成されます。そうなってきたら自然農法の畑がどんどんできてきます。
理想の土を作るには農薬・肥料・耕作をやめてみる
自然農法に理想的な畑の土を作るための第一歩は『農薬・肥料・耕作』をやめることです。
農薬を散布すると虫が寄ってこなくなり、肥料を撒くと畑の地力は養われず、耕作を繰り返すことで土はどんどん固くなり地中の微生物は減っていきます。外から色々足していくことで畑はどんどん痩せていってしまうのです。
「でも除草剤を使わなかったら畑は草だらけに、、、」そう思われた方も多いと思います。僕もはじめそう思いました。確かに自然農法で野菜を作っている畑の草は他の一般的な野菜畑に比べるとすごい量です。しっかり管理していないと野菜を見失ってしまうこともあります。(笑)
ほったらかしと言っても必要に応じて草を刈ったり抜いたりすることもあります。特に野菜の苗がまだ小さい時などは周りの草の勢いに負けてしまわないように気を配る必要があります。
大切なのは『力を貸すのではなく借りる』ということ
一般的な農法(慣行農法)では草を刈ったり抜いたり、時には除草剤を使用して畑の見た目を綺麗にし、野菜に必要な栄養を外から補って、より作業しやすく効率をよくするために耕作を繰り返します。畑に人間が力を貸し管理するという考え方です。
自然農法では『自然の力を借りて、人間はそのお手伝い』という考え方がとても大切です。確かに自然農法は効率が悪く、野菜の出来もバラツキがあるかもしれません。でもとてもやりがいのある農法だと思います。うまくいかない時は立ち止まって考える。あれこれ試してみて答えを探しながら作業していく、これも自然農法の楽しみの一つかなと思います。
まとめ
今日は畑の状態を見分ける方法と理想の土を作る方法を紹介させていただきました。
これから野菜作りをしようとしている畑の状態を知るところが初心者ではかなり難しいかもしれません。よく観察すると畑には本当に色々な草が生えているからです。同じ畑でも場所によって生える草も違いますし、季節によっても変わってきます。
今日紹介した草の種類の中でも条件の良い草と悪い草が混在している場合がほとんどです。なのであまりそこに固執しすぎずに判断した方がいいと思います。土の条件があまり良くない場合でも種まきしてみると意外と上手く育ってくれることも多々あります。
農薬や肥料、耕作を繰り返してきた畑の土を自然の戻すには時間がかるかもしれません。1年や2年では元に戻らないかもしれませんが、気長に待てば必ず理想の畑に近づいてくれます。
そのためには自然農法の3原則『耕さず・持ち込まず・虫や草を敵としない』これを根気強く守っていきましょう。畑をよく観察するととても多くの気づきを得ることができます。はじめは色々わからないことも多くて苦労を感じることもあるかもしれませんが、徐々に毎日がより楽しくなってくるはずです。一緒に自然農を楽しみましょう。
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